特別講演 「水族館の飼育とSDGs〜終わりのない謎の扉〜」
2021年10月15日(金) 9:30〜
世界淡水魚園水族館アクア・トト ぎふ
館長 池谷 幸樹 先生
AIやIoT、仮想通貨やスマートシティなど、10年前はその業界の人しか知り得なかった技術や概念を今では誰でも耳にしたり、その技術により製造された製品を知らずに使っていたりするなど、2021年は技術革新の真っただ中で第三次から第四次産業革命への移行期とも言われている。
一方で、国連のSDGs(持続可能な開発目標)という言葉も浸透し、あらゆる場面で皆さんも耳にするようになったのではないであろうか?
第4次産業革命の特徴は、すべてSDGs的な考えが背景にあり、省エネで環境負荷が少ないことが前提である。これまで産業革命の度に人類は豊かで便利な生活を手に入れてきたといえるが、その裏で地球環境そのものは破壊され、疲弊し、地球の限界「プラネタリーバウンダリー」が見えてきている。すでに地球の限界に達していると言われている2項目、「生物種の絶滅速度」と「窒素の生産量」はどちらも次元は違えども水族館の飼育業務において大いに関係し、地球規模で起きていることを学ぶのに水族館は打って付けである。
レクリエーションの場としてテーマパークに位置づけられる水族館であるが、 SDGsを推進していく上で利用価値がとても高い施設と演者自信は考えており、その理由を水族館の飼育の現場から説明を試みたい。行き過ぎた動物愛護・福祉思想から非難されることの多い生物の飼育がさまざまな問題の解決に繋がる可能性があることを経験から述べたいと思う。
教育講演 「アルツハイマー病モデルマウスの開発とその問題点、そして今後の展開」
2021年10月15日(金) 11:00〜
名古屋市立大学大学院医学研究科
脳神経科学研究所・認知症科学分野
教授 斉藤 貴志 先生
超高齢化社会において認知症・アルツハイマー病(AD)の克服は、最大の課題の一つである。特に、老化疾患であるため様々な要因が多重に、複雑に関与することでその発症に至ると考えられる。そのためAD発症機構を明らかにするためには、ヒトの脳内で起こりうる変化をモデル動物の中で再現させ、分子病態、細胞病態 など多階層的に捉え、そのメカニズムを理解し、制御することが重要になってくる。我々は、AD二大病理である「老人斑」および「神経原線維変化」をマウス1個体内(脳内)で再現させるべく、次世代型ADモデルマウスの開発に取り組んでいる。しかし、いまだにその完成には至っていない。本講演では、ADモデルマウスの現状、問題点を明らかにし、今後どのように目標を達成していけるのかを先生方と議論したい。