2021年10月16日(土) 9:15〜10:15
:日本実験動物技術者協会本部共催企画
講演1:「実験動物に用いられる麻酔法の基礎」
岡村 匡史先生(国立国際医療研究センター)
動物実験において、外科的手術、安楽死処置等に欠かさない麻酔薬ですが、適切な麻酔薬の使用は実験動物の苦痛の軽減のみではなく、実験者の安全確保のためにも必要です。麻酔薬ごとの作用機序は?作用点の異なる麻酔薬をどのように組み合わせているのか?吸入麻酔薬と注射麻酔薬の使い分けは?それぞれの実験に適した麻酔薬は?これら麻酔薬の特性を学ぶことによって、実験、安楽死処置など、それぞれの用途に適切な麻酔薬を選択して正しく使用することができます。また、麻酔薬の中には、向精神薬に該当するものもあり、その種別により保管、譲渡、記録等の規制が異なります。
今回は、これまで麻酔薬に関する多くの講演を行っております国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所の岡村匡史先生に、麻酔薬の基礎をまとめた内容を、現場の具体的な例も挙げながらご講演いただきます。
講演2:「バルビツレートを用いた安楽死処置〜生体応答から見るセコバルビタールの有用性〜」
赤木 佐千子先生(岡山大学自然生命科学研究支援センター)
これまで、実験動物の安楽死処置に用いられる麻酔薬といえば、ペントバルビタール(ソムノペンチル注射薬)でした。しかし、2018年日本におけるソムノペンチル注射薬の終売が告知され以来、その代替薬についての議論が繰り広げられ、その進捗状況は誰もが気になるところであります。これまで、ペントバルビタールの代替薬となり得る薬剤について、法規制や薬価、動物福祉の観点から様々な議論は進んできましたが、他のバルビツレートを用いた安楽死処置に関する情報は未だ少ないのが現状です。
そこで、岡山大学自然生命科学研究支援センター動物資源部門の赤木佐千子先生のチームは、バルビツレートの中でも医薬品として市販されており、米国においては人の安楽死にも用いられているセコバルビタールに着目し、安楽死処置の検討を行いました。
本講演では、ペントバルビタール、セコバルビタールおよびチアミラールをラットに腹腔内投与し、生体応答を比較した結果をもとに、ペントバルビタールの代替薬となりうるセコバルビタールの有用性についてご紹介していただきます。
シンポジウムV
「スキルアップ・ステップアップのマテリアル 〜講演会・講習会 in 支部活動s〜」
2021年10月16日(土) 10:30〜12:00
座長 伊藤 恒賢(山形大学医学部メディカルサイエンス推進研究所)
野口 和浩(熊本大学大学院生命科学研究部)
日本実験動物技術者協会(実技協)は、7つの支部で構成され、支部は独自の魅力ある活動を展開しています。このシンポジウムでは関東支部、関西支部及び九州支部の支部長から各々の支部活動について紹介いただきます。そして本部からは各支部の活動を全国の会員の皆様に知ってもらうための取組みなどを紹介いたします。各支部の活動は支部によって多種多様であります。この機会に他支部の活動を知っていただき、会員各位のスキルアップ・ステップアップに活用いただけたら幸いです。
各支部の活動には非会員にも広く参加いただいています。周囲の非会員の皆様も含め、各支部がどのような活動を展開しているかを知る良い機会となることを期待しています。
1. 「はじめに(本シンポジウムの開催について)」
伊藤 恒賢(日本実験動物技術者協会 理事長 / 山形大学)
野口 和浩(日本実験動物技術者協会 前九州支部長 / 熊本大学)
2. 「技術者への修行支援 −講演会・講習会を通じた実験動物技術の研鑽−」
江藤 智生(日本実験動物技術者協会 関東支部長 / 実験動物中央研究所)
3. 「関西支部活動について 〜これまでとこれから〜」
三上 崇徳(日本実験動物技術者協会 関西支部長 / 川崎医科大学)
4. 「実技協九州支部における講演会および研修会等の活動状況について」
野口 和浩(日本実験動物技術者協会 前九州支部長 / 熊本大学)
5. 「支部活動の活性化に本部はどう関われば良いのか」
伊藤 恒賢(日本実験動物技術者協会 理事長 / 山形大学)
6. 総合討論